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平井巧のきょうも平熱

Shokuyokuマガジン編集長の平井巧が書く平熱エッセイ。
食のことも、食以外のことも、いろいろ思ったことを書いていきます。

#8
「食がおもしろいとは?」を考える1

漫画でも、映画でも、ラグビーでも好きな分野のことだと、その道のご意見番的な人の話を素直に聴きがちだ。じぶんも「食」のこと、とくに食文化や地理歴史、料理系の話は好物だから、その分野の専門家が言うことは「ほほぅ!」とか「うぉーそうなのか!」なんて感じ入って真に受けちゃう。

その分野のことをかじり始めた頃は、スポンジのように情報を吸収するのもアリ。それがあるとき、触れた情報に対して「ん?」と思うことがある。ここに書いてあること違うんじゃない? とか、あなたの言っていること僕はそうは思わないなーって。

高校や大学で教壇に立って教えていると、生徒たちはこちらが言うことをすべて「正しい」と思っている節がある。べつに嘘はついていないんだけどさ。生徒たちには「なんでもかんでも信じないで、ときには疑問を持ってみて。そこからがおもしろいから」と伝えている。

仕事でも、僕が出したアイデアに対して、「それ、おもしろいですね」とだけ返されちゃうと、なんだかなーって。糸井重里さんが主宰する「ほぼ日」の過去の記事でも似たようなことが書かれていたけど、「いい正直さ」を持って、足を引っ張らない程度に批判してほしいなと思う場面はたくさんある。

好きな分野こそ盲信しがちだから、クリティカルな視点をもちたい。「いい批判」ができてから、俄然おもしろくなる気がする。「わー、すごい!」だけで終わるのはもったいない。本当に面白くなるのは、そこから問題提起にまで持っていってからだ。

2023年10月13日 平井巧

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