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平井巧のきょうも平熱

Shokuyokuマガジン編集長の平井巧が書く平熱エッセイ。
食のことも、食以外のことも、いろいろ思ったことを書いていきます。

#7
映画『もったいないキッチン』を子どもたちへ。

先日、映画『もったいないキッチン』の上映会を行なった。ぼくらの主宰する「サルベージ・パーティ」とコラボしませんか? と、この映画のプロデューサーである関根健次さんにお声がけいただいて、実現した。

関根さんとは、ユナイテッドピープルが映画『0円キッチン』を配給するときに、PRイベントでご一緒してからのお付き合いで、『0円キッチン』から着想された『もったいないキッチン』のアンバサダーにぼくを選んでいただいたのも、もう4年ほど前の話。映画がまさに公開されるというときに、日本ではコロナ禍に入り、映画のPRはおろか上映さえもままならなかった。ぼくもアンバサダーとして大してお役にたてずに、心に引っかかるものをそのままに今日まで来ていた。だから、今年サルベージ・パーティを再始動したのとともに、映画の宣伝もたくさんしていこうと思う。

アンバサダーに任命されたから宣伝するわけじゃなく、この映画は本当にイイ。これまで3回は観たけど、いつも感想がちがう。騙されたと思って、1度観たことがある人ももう一回観てみてほしい。観る人に「生きる」を問いかけるドキュメンタリー映画は、自分自身の価値観で受け取り方が変わるから、暮らしとか仕事とかそのとき置かれている状況によって、見え方が変わるのかもしれない。

上映会には数十人の方が参加してくれた。みなさんと一緒に映画を観終わった後、関根さんと僕とでちいさなトーク時間を設けた。そのとき関根さんは、「この映画をもっと子どもたちに観てほしい」と話してくれた。もっとたくさんの人に観てもらえたかもしれない映画が、コロナの影響で届くべき場所に届かなかったかもしれない。それこそ “もったいない” 。

そこで関根さんたちは、2時間越えの映画を、学校の授業のサイズに合わせて35分短縮版に再編集。削るシーンを巡っては、監督といろいろ揉めたらしい笑 関根さんは見えないところでそういう汗をかきながら、このさきも子どもたちにこの映画を届けようとしている。

食品ロスに限らず、関根さんは社会問題について話すとき、心を現場に通わせてものすごく熱を込める。かと思えば、映画の裏話など冗談混じりに話してくれるし、映画の中で巡った日本各地の食の現場を、誰よりもたのしんでいる。関根さんを見ていて、深刻さとおもしろさのバランスが絶妙だなと感心する。関根さんの向き合い方は、地球環境や社会問題に対してどう振る舞えば良いかのひとつのヒントだ。

『もったいないキッチン』はテーマが普遍だから、このさきも残る映画のひとつとして、ぼくも長く宣伝活動をしていこうと思う。

2023年10月9日 平井巧

映画『もったいないキッチン』上映会は、honshokuが主宰する食の学び舎「フードスコーレ」の中で企画されました。ほかにもたくさんのイベント・プログラムを企画していますので、よかったらウェブサイトやSNSを覗いてみてください。

◯フードスコーレ ウェブサイト
https://foodskole.com/

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