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すごいね調味料

料理に欠かせない調味料。
特に和食に欠かせないと言われている“さしすせそ”や出汁。
なかなか単体ではスポットが当たることは少ないですが、
その調味料の背景を覗いてみると、新たな発見がいっぱい。
そんな調味料の世界の面白さを知ってもらうために、
普段よく調味料を使う料理人など食にまつわることを
生業にしている方から、
イチオシの「調味料」についてお聞きします。

みりん
古式三河仕込み純米本みりん三年熟成(杉浦味淋)

和食には欠かせない調味料。
家庭はもとより料理人でも意外と理解されていない調味料です。和食では、麵つゆなど醤油とみりんを1:1の割合で使う黄金比がありますが、みりんには上品な甘さと、照りつやをつけたりと色々な効果があります。
家庭では使っていないところも結構あると聞きます。なんとなくみりんは使っていても、その効果を意識して使ったり、みりんによって味わいがかなり違うことも知られていないので、ぜひ改めて味わっていただきたい調味料のひとつです。

杉浦味淋のここがすごいね

先代の時はつくれば売れる時代で、量産型の新式のみりん製造が主体でした。それがだんだんと下火になり、現社長が引き継いだ時、会社は火の車状態だったそうです。事業を畳もうかどうしようかと悩んでいた時、初代のおじいさんが残した手書きのみりんレシピを偶然見つけます。「すごく手間がかかり贅沢な造り方だな。」と最初は思ったそうですが、試しに造ってみたら今までとは全く違うまろやかな美味しさでした。「目指すところはこれだ!」と、一念発起して初代の造り方である昔ながらの純米本みりんに切り替えます。それから工夫していく中で『半年もろみ』や『3年熟成』にたどり着きました。色が黒いので濃厚なイメージがあるのですが、意外とあっさりで味のバランスがよく、落ち着いた香りとまろやかな甘みで後味がいいです。加熱調理にも向いていて黒蜜や砂糖の代わりに使われたりします。現杉浦社長のみりんに関しての思いは熱く、話出したら止まりません。

古式三河仕込純米本みりん三年熟成のここがすごいね

三河みりんの中でも、個性が光る黒いみりん。 独自の美味しいみりんを造りたいという思いから、通常はもろみにして3か月で絞るところを、効率は悪いですが、あえて半年にもろみ期間を延ばしてます。絞ったみりんを、さらに3年熟成させて仕上げた黒い色の熟成みりんです。

イラスト:モノ・ホーミー

おすすめの
使い方
みりん蜜

三年みりんを鍋に入れ、沸かないように弱火で2/3量くらいまで煮詰めます。アルコールも飛びます。それを黒蜜の代わりに、あんみつや葛きりなどにかけて。バニラアイスにかけても美味しいです。常温で数日保管できます。

調味料概要

本みりん。 もち米(国産)、米こうじ(国産米)、焼酎(国内製造)で造る純米本みりん。

メーカー概要

杉浦味淋株式会社
三河みりんの本場碧南で3代続くみりん専門蔵で家族経営の手造り蔵。

紹介者プロフィール
長田 勇久

「小伴天」代表取締役社長。「日本料理一灯」店主。大学卒業後、つきぢ田村にて6年間修行。のち小伴天に戻る。地元愛知の漁港、畑、醸造蔵をめぐり、様々な作り手の思いのつまった食材を使った日本料理「一灯」を2015年オープン。店主をしつつ、白醤油講座、愛知大学オープンカレッジ講師など多方面で地元の伝統的な野菜や調味料、和食の魅力を伝える活動や、真空調理をはじめとする新調理技法の講師としても各地で講演や指導をしている。新調理技術協議会幹事/和食文化国民会議幹事。著書「真空調理で日本料理」「わかりやすい真空調理レシピ」「調味料の事典」(柴田書店出版)

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