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ユトレヒトから、おはこんばんちは!

4年間務めていた会社を辞めて日本を飛び出してオランダに渡り、
昨年からユトレヒト大学院で環境学を学ぶ荒井りささん。
りささん、新天地での暮らしに戸惑いながらも、
日本にいると気づけなかったことにも触れてどうやら毎日が楽しそう。
そこで、ユトレヒト暮らしのちょっとおかしなことを、
食にまつわることを中心に、りささんにお届けしてもらうことにしました。
月に一度更新していきます。

第1回
ユトレヒトでの一日

おはこんばんちは! りさです。
わたしは昨年9月よりオランダ、ユトレヒトの大学院で「持続可能な開発(Sustainable Development)」について学んでいます。
大学時代の専攻は環境学とは無縁でしたが(スペイン語と社会学)、卒業後は廃棄物処理関連の仕事にかかわり、しだいに環境やサステナビリティについて興味をもつようになりました。この分野でもっと学問的な知識をつけたいと一念発起し、ぴったりのカリキュラムがあったユトレヒト大学に進学を決めました。4年間東京で働いたのちにあらためて学生になったわけですが、日本とはまったく異なる環境を楽しみつつ、時にちょっと戸惑いつつ、日々を過ごしています。

「ユトレヒトから、おはこんばんちは!」では、そんなわたしのユトレヒトでの暮らしについて、食というレンズを通じてお届けしていきます。

* * *

ところでみなさん、ユトレヒトという街について何か知っていますか?

ユトレヒト同盟? FCユトレヒト?

…正直なところ、わたしはここに来るまでよく知りませんでした。ユトレヒトはオランダの中心部に位置する第4の都市で、運河とドム教会の塔がランドマークの美しい街です。みんな大好きミッフィーの生みの親、ディック・ブルーナが暮らした場所でもあります。

わたしがここに来たのは、ちょうど勉強したい分野がユトレヒト大学にあったから、という単純な理由からです。でも、ほれぼれするほど美しいところで人々も温かくて、ここに来られてよかったなあと心から思います。とはいえ、パンデミックのさなかに渡航したこともあり、まだまだユトレヒトの魅力について知らないことばかり。わたしと一緒に街を探検していきましょう!

ユトレヒトの運河沿いの風景

* * *

第1回目の今回は、ユトレヒトでの暮らしのある一日をご紹介します。
こちらに来てからは、学生として勉強にはげむ毎日です。そこで大切なのが、適度な息抜き。わたしにとっては、ごはんの時間が至上のリラックスタイムになっています。ユトレヒトで毎日どんなことをしてどんなものを食べているか、ちょっとのぞいてみてください。

朝 Morgen

わたしは朝型で、たいてい7時ごろに起きます。オンライン英会話でいつもの先生とおしゃべりし、一緒に暮らしているかわいい植物たちの水やりをします。植物がだいすきなオランダの人は、お家にたくさんの植物を置いています。こちらに来てからはわたしもすっかり感化されて、今では部屋にたくさんの鉢植えがあります。

朝ごはんはカボチャの種などを入れたお手製のオートミール粥です。オートミールとはオート麦を脱穀したもので、お湯をかけたり煮込んだりすることでお粥のようにやわらかくなります。欧米では朝ごはんの定番というかんじで、ここオランダでもポピュラーな食べものです。日本でも似たようなものを食べていましたが、こちらのほうがずっと値段が手頃で、どのスーパーでも手に入ります。これと一緒に、よくバナナやリンゴを食べます。いつもゾンビのように寝床から這い出ていますが、あたたかいごはんと甘い果物を食べると自然と目が覚めます。

オートミール粥

大学院では週に3~5日ほど授業があります。授業時間は2時間~4時間ととても長いのですが、合間に10分ほどの休憩時間をいくつかはさむのが特徴です。

授業がある日は、部屋からパソコンで授業に出ます。コロナの影響で、昨年度はほとんどオンラインでした。でも、オランダではワクチン接種が進むにつれて規制が緩和されてきています。なので、来期からはキャンパスで授業がされる予定です。対面の授業がどんな風なのか、ちょっぴりどきどきします。

授業がない時は、街を散歩したり自転車で湖に行ったりして自然を楽しみます。でも実際のところそんな日はなかなか取れなくて、たいてい家や図書館で机に向かっていること多いです。授業の予習・復習をしたり課題のエッセイを書いたりと、授業以外にもやらないといけないことがたくさんあります。

昼 Middag

とはいえ、にんげん、ぶっ続けで集中できるものではありません。そんな時、お昼の時間が大事なリフレッシュタイムになります。

家にいる時によくつくるのはパスタやスープです。図書館で勉強している時は、スーパーでパンとフムスなどを買って食べたりします。フムスはひよこ豆のペーストで、中東の地域でピタパンなどの付け合わせとしてよく食べられているものです。このフムス、パンが大好きなオランダ人の間でもとっても人気で、スーパーではいろんな種類が揃っています。例えるなら、ごはんのお供の「のりの佃煮」的なものでしょうか。

ある日の昼ごはん、友だちと一緒に

友だちと一緒に勉強するときは、お昼の時間はフィーバータイムです。しょうもない歌詞のラテンポップをBGMに、手分けしてオムレツやサラダをつくります。スペイン人の友だちは、手際よくレタスやトマトを刻み、あっという間にサラダをつくります。イギリス人の友だちはカレーが得意で、冬のあいだはよく一緒に食べて温まっていました。材料や味付けはシンプルなものが多いです。学生でお金もないので、豪華な食材を使ったり外食することはありませんが、手作りの素朴なものがいちばんです。たらふく食べて、午後からまた勉強にはげみます。

昼食後は、眠気覚ましに濃いめのコーヒーを飲むことが多いです。オランダの人はお茶よりもコーヒー派のよう。

学校の図書館のコーヒーマシン

夜 Nacht

夕方まで勉強したら、お楽しみの夜ごはん。さくっとサラダなどで済ませることもあれば、友だちと一緒につくって食べることも。自炊がきほんなので、外食はほとんどしません。でも、もうレストランも開いているし、そろそろ開拓したいなと思っていたり…。

ある日の晩ごはん、和食

わたしはサステナビリティを勉強していることもあり、自分が買うもの、食べるものはなるだけ環境負荷の低いものを選ぶようにしています。日本にいたころからあまりお肉は食べませんでしたが、オランダに来てからはまったく食べなくなりました。こちらでは自炊をするようになったというのもありますが、カフェやレストランでもベジタリアンやビーガン向けの食事がとても充実していて、困ることがないというのも一つの理由です。ちなみにわたしは卵やお魚はたまに食べるので、分類的には「ペスカタリアン」にあたります。そんなわけで、よく食べるのは豆と野菜です。こちらでは日本より手ごろな価格で手に入るので、お財布にも優しいです。

友だちと家で料理するときに重宝するのは、“verspakket”というミールキット。日本でも、「カレーが作れるミールキット」のようなものを見かけたことがあります。ですが、こちらではもっと主流で、どのスーパーでも必ずいくつかの種類が取り揃えられています。野菜、調味料とレシピが一つになっていて、アジアンやアフリカンなどの様々な料理がかんたんにつくれます。

オランダの伝統的な料理は、じゃがいも、豆、お肉がメインのシンプルな食事です。そのあまりのシンプルさゆえに、あまり「美味しい」という評判はありません。でも、ここ十数年で、世界中の料理が身近に楽しまれるようになったそう。今では市内には多国籍のレストランが軒を連ね、スーパーには世界各地域の食材が所せましとならんでいます。

スーパーのミールキット

そんな背景もあって、日本食の材料はスーパーでたいてい揃えることができます。例えば、醤油、みりん、味噌、海苔、さらにはラーメンキットまで…。お値段は少し張る一方で味はまあまあといったところですが、取り揃えがあるだけでありがたいなと思っています。わたしは日本からおいしい海苔や乾物を送ってもらったので、和食をつくるのには困りません。わたしはどんな料理も好きで和食はあまり作らないのですが、たまに食べると「やっぱり日本のごはんがいちばんだー!」と心から思います。

スーパーの日本食のコーナー

夕食後は、オランダ語の勉強をしたり、Netflixを観たりして過ごします。翌日のやることを整理してから、11時ごろに眠りにつきます。

* * *

以上、こんな感じで、ユトレヒトで暮らしています。勉強が中心にあるとはいえ、合間に友だちと過ごしたり、料理をつくって楽しんだりしています。日本での会社員時代はとにかくバリバリ働いていて、友だちと過ごす時間や料理の時間は優先してきませんでした。ですが、コロナの影響と海外留学という二つの大きな環境の変化のなかで、そうしたささやかなことが日常の大切な一部になっています。

以前は外食ばかりでしたが、こちらで自炊をしているうちに料理の腕もあがりました。自分でつくって食べるって、こんなに楽しいことなんですね! 日本でもコロナの影響で家にいる時間が増え、結果として自炊を楽しむ人が増えてきているんじゃないかなと思います。

次回は、オランダに住む人が好きなものについてお届けしていきます。お楽しみに!

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